コラム「コモンビートが生み出す『理念の体現』と『共育の文化』」

先日「NPO法人コモンビート」の理事長/事務局長、
安達亮さんを講師としてお招きして、
「非営利団体の人と組織のマネジメント」を学び合う勉強会を開催しました。
マニアックな勉強会にマニアックな人たちが集まって、
マニアックなニーズがたっぷり満たされてみんなツヤツヤと(笑)。
コモンビートのことは以前から「スゴイ!」と思っていたのですが、
尊敬の念がますます高まる機会となりました。

コモンビートの素晴らしい在り方に触れて感じたこと、
そこから考えたことを、今週のコラムとしたいと思います。

――表現活動によって
自分らしく・たくましく生きる個人を増やし
多様な価値観を認め合える社会を目指す

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これがコモンビートのスローガン。
そのためのプログラムのひとつとしてあるのが、
全国で話題の「100人100日ミュージカル」です。
ミュージカル「A COMMON BEAT」というひとつコンテンツを、
地域と人を変えて上演し続けています。
演劇経験が無い場合も多い100人がボランタリーに集まり、
100日間情熱的に練習をしてミュージカルを練り上げて、
もちろん上演の集客も自分たちでやり抜いて、
数千人のホールが毎回のように満員になる、
という驚異的なプログラムです。
現在までの累計、上演数約80回、キャスト約3千人、観客約10万人!
いや~、本当に凄い。

そしてそのボリュームも凄いですが、
コモンビートがミュージカルを通して「やっていること」の中身は、
実は「人と組織」に向き合うプレイヤーにとって
垂涎の取り組み・ノウハウ・考え方の宝庫でした。

「コモンビートってミュージカルの団体ですよね」と良く言われるそうですが、
もちろんそれも側面である一方、前述のスローガンには「ミュージカル」という言葉はありません。
社会のひとりひとりが「自分らしく・たくましく」生きられること、
さらにお互いに「多様な価値観を認め合える」豊かな関係性であることが大切であり、
ミュージカルとはそれを体験・体現する手段のひとつなのですね。

で、個人的には、実はこの「体現」ということが
とても大きな価値を持っていると思っていると感じました。

NPOマネジメントにおいては、
団体の理念をいかにメンバーに浸透・共有するかということが
常に非常に大きなテーマとなります。
理念を表す言葉・文章を生み出すことに苦しみますし、
浸透・共有の仕組みをいかにつくるかということに、
リーダーやコアスタッフはいつも腐心しています。

しかしこの分野において、コモンビートには非常に大きな強みがあります。
メンバー全員が理念や価値を「体現」できるということです。
つまり「一緒に踊って歌えば、わかっちゃう!」ということですね。
あれこれ言葉で考えずとも、ミュージカルプログラムを通して、
「自分らしく・たくましく」生きることの大切さを体感できますし、
「多様な価値観を認め合える」関係性を現実につくり上げることができてしまいます。
聞けば聞くほど、ミュージカルの演目内容も、プログラムの仕組みも、
関わる人の姿勢・考え方も、すべてが理念を「体現」しているんですね。

いや~、これは、強い!
理念共有というレベルではなく、もう「体で覚えている」わけですから。
そりゃあ多くの人を巻き込んで惹きつけるし、
強いエネルギーを発していくし、
関われば人と組織に愛着を抱き続けるよなあ、と。
マネジメント実践者、垂涎ですね(笑)。

・・・思いのまま書いていたら長いコラムになってきてしまいましたが、
コモンビートが「体現」のために持っている数ある仕掛けを、
ひとつだけご紹介したいと思います。

コモンビートが大切にしていることのひとつに「共育」という考え方があります。
相互に対等な関係性でつながり、他者の多様性を受け入れ、
挑戦できる安心感を生み出し、それぞれが主体性を持って取り組む。
そうしたことを通じて、ダイレクトに「人として」接する文化を持ち、
「共に育む」という対等な相互作用を生み出しているそうです。
この体験を100人と100日間続けたら、それは目の色変わりますよね。

この「共育」の実際の仕組みとして素晴らしいと感じたのは、
「こっそりバディ」というものです。

(1)100日間の最初に全員がくじを引く。
(2)くじには100人のうち誰か1人の名前が書いてある。
(3)偶然に決まったその1人のことを「こっそり」、気に掛ける、お世話する、面倒を見る。
(4)もちろん自分のことも「誰かが見てくれている」。
(5)100人全員が、誰かの面倒を見て、誰かに面倒を見られている。
(6)ミュージカル本番直前、「こっそりバディ」が公開される。
(7)感動して、気合スイッチがバチッと入る。

イメージするだけでも幸せな気持ちになる仕掛けですね。

「誰かのために」という思いが強く明確であるほど、
その人自身が力強い輝きを放つ、と私は考えています。
「こっそりバディ」を仕掛けのひとつとした「共育」という考え方によって、
コモンビート全体がその力強い輝きのエネルギーに満たされているのでしょう。
だからこそ人を惹きつけ続けるのだと思います。

さて、そんなコモンビートをもっと知りたい、関わりたい!という方へ。
是非ホームページのいろいろなところを探検してみましょう。
http://commonbeat.org/
◆東北復興ミュージカル クラウドファウンディング募集中
◆第29期中部ミュージカルプログラム 参加希望者募集中
◆「gooddo」を通して気軽で無料な支援が可能
◆次回東京公演は8月1日と2日に上演
◆その他、様々なイベント・プロジェクトが進行中

自分らしくたくましく生き、多様な価値観を認め合える個人になれる。
コモンビートに関わること、おすすめです。

(事業局長/コンサルタント 五井渕 利明)

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