【代表コラム】2022年は「市民活動の再起動」の年

2020年初頭に新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を襲い、それによって社会経済活動が制限される日々がずっと続いています。Withコロナ時代も3年目を迎えることになりました。

新型コロナウイルスについてはいろいろな捉え方や認識がありますが、ここではNPO・市民活動・地域活動・サークル活動などのコミュニティ活動の視点から、2022年の方向性を提示していきたいと思います。

ここまでの振り返り

新型コロナウイルスの感染拡大により、世の中は3密(密閉・密集・密接)を避けなければいけない状況となり、イベント・場づくり・交流などを主活動とする多くの市民活動・コミュニティ活動にとっては、ものすごくやりづらい状況となりました。

リアルなイベントは開催しづらくなり、リアルなミーティングはやりにくくなり、多くの団体・活動はリアルな場と交流を剥奪されてしまいました。それによってZoomの活用を中心としたオンライン化が一気に進み、運営形態や組織形態、コミュニケーションのやり方が大きく変わった団体も多かったと思います。

一方で、ミーティングやイベントやコミュニケーションをオンライン化できずに、活動が停滞したり、開店休業状態になったり、解散に追い込まれる団体も出てきています。2年間という時間はあまりにも長く、活動再開や引き継ぎの気運や目処が立たずに、苦しまれている団体も多いかと思います。

活動や運営をオンライン化できた団体も、オンラインによって時間調整がしやすくなったり、遠隔でもつながりやすくなったり、運営を効率化できる良い面もたくさんありましたが、一方でオンラインだけでは「気持ち」と「関係性」をつくるのが難しく、組織運営に困難を抱えた団体もあったのではないでしょうか。市民活動・コミュニティ活動にとって「気持ち」と「関係性」は活動の基盤であり、エネルギーの源泉ですからね。

ここからどうする?

Withコロナ時代3年目の2022年を迎えて、今年は市民活動・コミュニティ活動にとってどんな活動環境になるのか、ずっと考えてきました。ここでは少し大胆で前向きな見立てをお話したいと思います。

この2年間、数々の変異株に遭遇し、新型コロナウイルスの性質も変化してきました。オミクロン株は感染力は強いけど、重症化しにくい傾向にあります。ワクチン接種については、2回の接種は約80%まで進み、3回目のブースター接種も今後は進んでいくことでしょう。メルクとファイザーの経口治療薬(飲み薬)も承認されて運用が始まり、塩野義製薬の国産経口治療薬も承認に向けて動いています。

これらの要素が折り重なって今後の動向を予想するとき、私は今年の活動環境はこうなるのではないかと考えています。それは「何でもかんでも怖がって行動制限する」のではなく、「マスク・消毒・換気の3点セット」だけはしっかりしながらも、みんなで集まってミーティングしたり、イベントができる『ポジティブWithコロナ時代』になるという見立てです。

この2年間はネガティブWithコロナ時代でした。コロナを怖がって、行動制限と外出自粛をすることが主なモードでした。多くのイベントが中止や延期を迫られ、ほぼ活動らしい活動ができずに時間ばかりが過ぎたという団体が多くあったのは前述の通りです。

ここからは違います。今年一年はまだマスクは外せないし、ワクチン接種も必要だけど、消毒や換気などの基本的な感染対策をしながら、「リアルを積極的につくっていく」1年になると思います。それによって、活動者の「気持ち」と「関係性」が盛り上がり、活動に活気が生まれ、「市民活動が再起動する」1年になると思います。

もしいま活動が停滞していて、再開の目処が立たない、突破口が見えない、気持ちが上がっていかないと思っている市民活動・地域活動のリーダーのみなさん。そんなことを言っている場合ではありません。春になって“ふきのとう”や“つくし”が土から顔を出すように、私たちの活動も少しずつ少しずつこれから動きやすくなっていきます。準備をしましょう。計画を立てましょう。イベントを企画しましょう。「みんなでミーティングやろう」と言い出しましょう。

2022年のキーワードは「ポジティブWithコロナ時代」「市民活動の再起動」
この2年間でオンラインも使いこなせるようになった市民活動・コミュニティ活動が、「リアル」な場を取り戻して、組み合わせて、活気を取り戻していく2022年。

人間には「活動」が必要だし、地域や社会には「活動」が必要なのです。おしゃべりや雑談や交流や体験が必要なのです。それがコロナでよーくわかりました。活発な活動を通じて“コミュニティ”と“つながり”の豊かな社会をつくっていきましょう。

CRファクトリー代表 呉 哲煥

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