NPOや市民活動、地域づくりの現場で
「メンバーの意欲をどう引き出すか」「どうすれば定着してくれるか」という悩みは尽きませんよね。
これまで、組織やコミュニティの状態は「なんとなく雰囲気が良い」「最近少し元気がない」といった感覚で語られることが多くありました。
しかし今回は、コロナ前後をまたぐ約1万4,000件のデータをもとに、メンバーが関わり続ける組織にはどのような特徴があるのかを分析しました。内訳は、旧システムで収集した約1万件、新システムで収集した約4,500件の回答データです。
社会が大きく変化しても、人が集まり、いきいきと活動するために大切な要素は大きく変わりません。
組織運営を、個人の経験や勘だけに頼るのではなく、データに基づいて見つめ直すためのヒントとして、ぜひご活用ください。
※本レポートは、コミュニティキャピタル研究会で研究を担当してくださっている川西先生にまとめていただきました。

1. 組織の「健康診断」:コミュニティを形づくる3つの要素
コミュニティキャピタル診断では、団体内の人間関係やコミュニティの状態を、以下の3つの視点(因子)で測定しています。

| 因子 | 見ていること | 説明 |
|---|---|---|
| 第1因子 理念共感と貢献意欲 |
団体のビジョンや理念への共感 | 団体のビジョンや理念に共感し、「この活動に関わりたい」と感じられているかを測るものです。 |
| 第2因子 自己有用感 |
自分はここで役に立っているという実感 | 「自分はこの団体で役に立っている」と感じられているかを測るものです。 |
| 第3因子 居心地の良さ |
自分らしくいられる安心感 | 自分らしくいられる安心感や、無理なく関わり続けられる感覚を測るものです。 |
これらは個人ごとに測定されます。得点が高い人ほど、団体に対するコミュニティ感覚が高いと評価されます。
また、メンバー全体の平均得点が高い団体ほど、コミュニティの状態が良いと診断されます。
調査の結果、「理念への共感」と「居心地の良さ」は、非常に強く連動していることが分かりました。
連動性は0.73〜0.74と高く、理念に共感できている人ほど、居心地の良さも感じやすい傾向があります。
一方で、「自己有用感」、つまり「自分は役に立っている」という実感は、少し性質が異なります。場が楽しく、理念に共感していても、本人が「自分はこの団体で役に立っている」と感じられているとは限りません。
つまり、良い雰囲気をつくることや理念を共有することに加えて、メンバー一人ひとりが「自分の役割がある」「自分の存在が必要とされている」と感じられる機会をつくることが、組織運営の大きなポイントになります。
2.「団体への愛着」と「自発的な行動」の育て方
では、メンバーが団体を好きになり、主体的に関わるようになるためには、何が必要なのでしょうか。
データからは、大きく2つの傾向が見えてきました。
「この団体が好き!」という愛着を育むのは居心地の良さ
データを見ると、「居心地の良さ」と「団体への愛着」は強く連動しています。
メンバーに団体を好きになってもらうためには、まず安心して関われる場をつくることが重要です。
たとえば、意見を言いやすい雰囲気があること。
失敗しても責められないこと。
自分らしく関われる関係性があること。
こうした心理的安全性があることで、メンバーは団体に対して愛着を持ちやすくなります。
「熱心な活動」を引き出すのは役割と感謝
一方で、自発的に活動へ時間を使う力は、「自分は役に立っている」という実感と強く結びついています。
ただ「もっと活動に参加してほしい」と促すだけでは、メンバーの主体性は育ちにくいものです。
大切なのは、
「あなたのおかげで助かった」
「この役割をお願いしたい」
と伝えることです。
その人ならではの役割を任せたり、貢献に対して感謝を伝えたりすることで、メンバーは自分の存在意義を感じやすくなります。
その結果、活動への熱意や主体的な関わりが生まれやすくなります。
3. コミュニティがメンバーの「幸せ」を支えている
今回の調査で特に重要な発見は、良い組織の状態が、メンバー個人の幸福感や健康感にも関係しているという点です。
特に「居心地の良さ」が高いほど、メンバーの孤独感が下がり、健康感が高まる傾向が見られました。
また、3つの因子すべてが、主観的な幸福感を高める要因となっていることも分かっています。
つまり、良いコミュニティは、単に活動を続けやすくするだけではありません。
そこに関わる人自身の幸福感や心身の健康にも関係している可能性があります。
「頑張っているから必要とされる」だけではなく、
「必要とされていると感じるからこそ、幸せで、もっと頑張りたくなる」。
このような、組織と個人が相互に高め合うサイクルが、データからも確認できました。
4. まとめ:まとめ:これからのNPOマネジメントに必要なこと

今回のデータが教えてくれるのは、これからの組織運営には、次の2つが欠かせないということです。
1つ目は、メンバーが安心して関われる「居心地の良さ」をつくること。
2つ目は、メンバーの力を信じて役割を渡し、「自分は役に立っている」と感じられる機会をつくることです。
「頑張って成果を出したから、必要とされる」のではなく、
「自分が必要とされていると感じるからこそ、もっと関わりたくなる」。
この心の動きを見逃さないことが、これからのNPOや市民活動、地域づくりの組織運営ではますます重要になります。
まずは今日、メンバー一人ひとりに、
「あなたがいてくれて助かっている」
「いつもありがとう」
と伝えることから始めてみてもよいかもしれません。
自団体の状態を、データで見える化してみませんか?
今回のレポートで紹介した内容は、コミュニティキャピタル診断のデータをもとに分析しています。
コミュニティキャピタル診断では、メンバーの「理念共感と貢献意欲」「自己有用感」「居心地の良さ」を測定し、団体やチームの状態を見える化することができます。
「メンバーが定着しにくい」
「一部の人に負担が集中している」
「活動への関わり方に温度差がある」
「次の担い手が育ちにくい」
こうした課題の背景には、メンバーの意欲だけではなく、組織やコミュニティの状態が関係しているかもしれません。
自団体の強みや課題を客観的に把握し、これからの組織づくりに活かしたい方は、ぜひコミュニティキャピタル診断をご活用ください。





