コラム「多様性と推進力のバランス」

こんにちは、代表の呉です。

今回のテーマは「多様性と推進力のバランス」です。

NPOやコミュニティのマネジメントの難しさの一つが「多様性」です。
NPOやコミュニティは、ボランタリーで参加の垣根が低いことが多いだけに、
いろいろな人が参加して、自ずと「多様性」が広がる傾向にあります。

$NPO法人CRファクトリー

多様な価値観、多様なスキルレベル、多様な参加時間、多様な動機、などなど。
方針を決めること一つとっても「ちゃんとビジョンやプランを決めよう」と思う人もいれば、
「先のことは決めすぎず、その場その場で柔軟に行けば道が開ける」と思う人もいます。
考え方や性格がバラバラだったりします。
スキルレベルも「ITに強い人/弱い人」、ミーティングなどで表れる「思考力・発言力」
なども個人差がいろいろです。レベルがバラバラだとうまくチームとして機能しにくく
なることもあります。
参加時間も「週15時間・月60時間ぐらいできます!」という人もいれば、
「仕事が忙しくて月5時間ぐらいなら関われます」という人もいます。
動機も「子育てで孤独になっているママをサポートしたい」という動機もあれば、
「多様な出逢いと素敵な仲間と一緒に活動することが楽しい」という動機もあります。

つまり、特にNPOやコミュニティにおけるマネジメントとは、
自ずと「多様性のマネジメント」の部分が多くなるのです。
この「多様性」をどう捉えるかは、マネジメントの大事な部分を決めることになります。

多様性のメリットは、
① いろんな視点やスキルが調達できる
② 関われる人数(スタッフ数)が多くなる
③ 多様性の楽しさがある(いろんな人がいる、わいわいにぎわう)

多様性のデメリットは、
① 人のマネジメントがものすごく大変
② 意志決定のスピードが遅れる(合意形成に時間がかかる)
③ 「一体感による推進力」が低下する
などがあります。

どちらを重視するかは、団体の目的や団体のそのときの状況によって最適解が
決まってくると思います。

「多様性」に無自覚であることが、いろいろな困難や不幸をもたらすのではないかと
経験的に思います。

「多様性」を前提としながら、組織として多様な関わり方をどうデザインし、
「目的達成」するか。ここはなかなか難しくおもしろいテーマです。

現在の仮説としては、コアスタッフの同質性(価値観・スキル・時間・動機)は
揃えて高い推進力を確保しつつ、サポートスタッフの多様性は高めて多様性の
メリットを享受するというのが良い方法ではないかと思っています。

ここもまだ確信は持ちきれず、現実の運用も道半ばなので、さらに実験・チャレンジ・
組織設計を繰り返しながら、またみなさんに視点・ノウハウ提供できればと思っています。

ダイバーシティでありながら、推進力と一体感の高い組織をどうつくるか。
非営利組織の難しさに対峙することは大変でもあり、
とてもおもしろく甲斐のあるテーマです。

(代表 呉哲煥

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