コラム「『しっくりくる在り方』で生きること」

「『しっくりくる在り方』で生きること」

先々週のコラム「良い別れ方が、良い関わり方をつくる。」では、
コミュニティ・団体を離れる際の「チェックアウト」について書きました。
つい先日、CRファクトリーでもインターンスタッフの卒業セレモニーを行いました。
今年の卒業生はみんな1年半から2年ほど関わってくれた、付き合いの長い仲間たちでして。
彼らの最終プレゼンを聞きながらいろいろと思い出した後で
贈る言葉を口にしながら、どうにも涙がたくさん出てしまいましたねぇ。
それぞれの想いや葛藤を抱きながらも、、
人として向き合いながら関わり続けてくれたことに、
感謝と惜別の念が溢れて止まりませんでした。

彼らはそれぞれの道を往き、多くのことと多くの人にまた出会うのでしょう。
CRファクトリーという場が彼らにとって、
時々立ち寄る止まり木のような、たまに帰る実家のような、
常の居場所であることができるように、続けていこう。
そして願わくば、彼らがこれから「しっくりくる在り方」で生きることができますように。

過去のことも未来のことも偉そうに語ることはできませんが、
いまこの時を生きている私たちの現在は、
価値観が多様で、良くも悪くも選択肢が溢れ、とても手探りで迷いがあり、不安と期待が入り混じる、
そんな過渡期にあるのだろうという、なんとなくの肌感覚があります。
「経済成長」や「立身出世」に一生懸命になるということが
わかりやすいフラッグとして機能しなくなってしまって久しく、
その神話の時代は終わりを告げてしまったのでしょう。

さて、じゃあ、どうして生きていったらいいか。ちょっと容易にはわかりませんね。
用意された答えにみんなで向かっていけるほど、簡単ではないのだろうとは思います。
幸せの形。目指したい方向性。大切なこと。守りたいもの。
それはもう、本当に人によって違うんじゃないでしょうか。当たり前かもしれませんが。
この過渡期の世の中で、多様な人が多様な価値観を持って生きているのだから、
答えみたいなものはやっぱり人の数だけあるのだろうなぁと思います。
いろいろ試行錯誤しながら、葛藤を繰り返しながら、
ひとりひとりが「しっくりくる在り方」を見つけて、
どうにかそこに近づいていくしかないのだろうと思います。

人それぞれに抱える悩みや歪みがあったり、
ありたい姿と過去・現在との間のギャップに苦しんだり、
自分自身と他者・社会との摩擦を感じたりする。
それでもなんとか日々大小の選択を重ねて、
いつか線になると信じて点を打ち続けて、
方向性を少しずつチューニングして、
自分と周囲にとっての折り合いみたいなものを模索していく。

と、書いている私自身、本格的にそれを模索していくことになりました。
端的に言えば、今までの地方公務員という本職を3月で辞して、
CRファクトリーはじめ「しっくり」に近いと思ういろいろを、
仕事兼ライフワークとしてやっていくことになります。
(さらに端的に言えば、フリーランスっぽくなります。)

想いや熱意を持つ仲間が集まり団体という形をとったNPOや、
愛着を感じあたたかい居場所であるコミュニティが、
関わる人の「しっくり」や「幸せ」につながるということが、
私自身の原体験でもあり、信じる方向性のひとつです。

みなさんの「しっくりくる在り方」は、どんな姿でしょうか。
ひとりで探すのはなかなか大変なので、
対話しながら一緒につくり出していければ、幸いです。

(コンサルタント 五井渕 利明)

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