コラム「NPOスタッフ『自分の仕事を家族にわかってもらうのが難しい・・・』

「NPOスタッフ『自分の仕事を家族にわかってもらうのが難しい・・・』」

先日、NPOの有給職員として働く人を中心としたメンバーで、
NPOスタッフのキャリアについて考えるワークショップを開催しました。
その場で(主に打ち上げの飲み会の席で)出た共通の悩み・あるあるネタとして、
「自分の仕事を家族にわかってもらうのが難しい・・・」
ということが挙がり、実体験も交えて大いに盛り上がりました。
(特に「結婚相手の親御さん」に対しては難易度高い!とか)

次回以降これについてもっと語り合いたいね、と皆で誓い合ったわけですが、
さて、理屈屋の私はちょっとコラムにして考えてみることにしました(実に大真面目に)。

まず、「自分や団体の仕事・理念をわかってもらう」ということを、
大雑把に以下のフェーズにしてみます。

◆容認
◆理解
◆共感
◆行動

◆容認:理解の有無はともかく、自分の選択を受け入れてもらえる。
例)「よくわからないけど、頑張ってるよね」
◆理解:感情面はともかく、仕事内容や目的への(理屈での)理解はある。
例)「何をやっているのか、知っているし認めているよ」
◆共感:論理を越えて、理念や方向性に感じ入ってもらえる。
例)「あなたの考えや行動、私自身の価値観とも近いね。いいね」
◆行動:仕事面においても仲間・パートナーとなる。
例)「一緒にやろう!!」

※理解はあっても容認がなかったり、
理解はなくとも共感・行動があったりするかもしれませんね。

ここで多くの人が壁に感じるのが、
まずゼロの状態から「容認」してもらうにはどうするか、ということです。
先日の話の中でも実体験からのノウハウがいくつか挙がりました。
「活動が載った新聞やテレビを見せる」
「家庭内でも頑張っている様子を見せて、姿勢で示す」
「とにかく貫いて、半ば諦めてもらう」
いや~、皆さん苦労されています(自分のことは棚に上げて)。

ここに苦労をするのはNPOの有給職員に限ったことではないかもしれません。
人から「ちょっとわかりにくい」と思われがちな仕事をされている方もそうでしょうし、
職業以外での、プロボノとしての活動、自主勉強会の開催、コミュニティの運営、なども。
いろいろな場面で「身近な人にこそわかってもらえない」という悩みを抱えがちです。

ところで、ここまで考えて気づきましたが、
「容認」→「理解」→「共感」→「行動」というフェーズは、
NPOの多くが社会や周囲の人々に対して仕掛けていることではありませんか?
理解者を増やし、共感者(支援者)を増やし、行動者(仲間)を増やす。
相手によって言葉やアプローチを変えながら、
周囲を巻き込んで社会に理念・活動を波及させることは、
ある意味で「いつもやっていること」です。

それが何故、家族や恋人に対しては課題を感じてしまうのでしょうか。
「共感」や「行動」を起こす対象ではないから?
人として深くつながっているからそ必要を感じないか、気恥ずかしい?
仕事とはあえて離れた立ち位置でいてほしいから?

いかがでしょうか。
どうしたら家族や身近な人に、自分が熱意を持ってやっていることをわかってもらえるのか。
そもそも、やりにくさの根底はなんなのか。
この共通の悩みに対して、ヒントやノウハウを教えてくださる方のコメント、お待ちしております。

・・・ちなみに。
「結婚相手の親御さん(取り分け娘を持つお父さん)」に対する難易度が高いのは、
通常の「容認」や「理解」とは全く別次元のハードルが存在することが要因である気がします。

(事業局長兼コンサルタント 五井渕 利明)

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