松戸市と千葉大学医学部を中心として、高齢者が集いつながりが生まれるコミュニティ「通いの場」を活性化することで、介護予防リスクを抑制し健康寿命を伸ばす実証研究的な取り組み「松戸プロジェクト」が推進されています。※松戸プロジェクト:https://matsudo-project.com/
労働人口の減少と老齢人口の増加からもたらされる2025年問題、医療費・社会保障費の財政危機という背景もあって、「住民主体の通いの場」というつながりによる、高齢者の予防医療・予防介護は厚生労働省の戦略・方針上でも重要な位置付けにあります。地域の相互扶助・助け合いによる課題解決のアプローチは、「地域包括ケアシステム」の形成にもつながるものです。
CRファクトリーとしては「つながりとコミュニティの質が健康に良い影響がある」ことの立証につなげる目的もあって、通いの場の運営支援を提供する形で関わっています。
その協働パートナーが松戸市の中間支援組織であるNPO法人まつどNPO協議会で、トヨタ財団からの助成を受けて事業を展開しています。
※まつどNPO協議会:http://matsudo-npo.org/
今回のワークショップも、まつどNPO協議会との共催で企画しました。
定員を埋める約50名の方々にお越しいただき、うち約7割が通いの場の運営を実践されている方々で、ねらい通り・期待以上の参加をいただけました。
前半は千葉大学の亀田先生による「コミュニティと健康の関係」について研究成果も含めた事例をお話しいただきました。「役割を担って社会参加している男性はうつ発症のリスクが7分の1」や「サロンに参加している人は認知症発症率がそうでない人に比べて3割低い」など、とても興味深いデータが示されました。また、グッド事例紹介ということで、市内で17か所ストレッチ教室を運営しているNPO法人人材パワーアップセンターの松山さん、新松戸のマンションで長年サロンを運営してきたコミュニティ五番街のボランティア花水木の会の方々から運営のコツなどを紹介していただきました。
後半は”自然と人が集まるシニアの通いの場の秘訣”について、CRファクトリー代表の呉が講義と対話のファシリテーションを担当しました。
講義では、これまでヒアリングを重ねてきた通いの場の運営実態調査からの気づきも踏まえて、通いの場運営の秘訣についての考察をお伝えしました。やはり運営者同士の横のつながりづくりや、ノウハウの共有のための場は貴重であったようで、その後の運営者同士での交流型グループトークもかなりの熱量で盛り上がり、充実した場になりました。今後も松戸プロジェクトをさらに推進するために、様々な取り組みを継続していきます。
まずは、2018年1月22日から通いの場運営者を対象とした本格的な連続講座が始まります。参加者の皆さんの反応もとても良く、すでに申し込みをしてくださった方もありました。
今後も、日本社会全体に発信できるモデルとして、事業を通して以下の仮説を立証していきたいと思います。
(1)コミュニティ・つながり・社会参加がシニアの健康寿命を伸ばす
______※千葉大学医学部の調査研究
(2)その中でも「質の高いコミュニティ」の影響力が特に高い
______※千葉大学の研究成果と「コミュニティキャピタル診断」との連携
(3)コミュニティの質を高める運営メソッドとは何か
______※「コミュニティキャピタル診断」と運営への支援・介入
(4)松戸市をはじめとした都市部における通いの場運営・普及の成功モデルとは何か
______※他地域に展開可能なモデル・先進事例の開発