【代表コラム】コロナ時代の市民活動・コミュニティ活動のシナリオ


この3ヶ月間の情報収集と、自分の経験知・感性を組み合わせて、「コロナ時代の市民活動・コミュニティ活動のシナリオ」をつくってみました。

予言ではなく「見立て」であり、未来を当てることが目的ではなく「見通しを持って前に歩み始めること」を目的としてつくっています。渦中で難しさを感じている市民活動・コミュニティ活動が、俯瞰的な視野を持つことで、自分たちなりに前に進むことを後押しできればと思っています。

少し社会経済活動再開ムードの中では慎重なシナリオに感じるかもしれません。コロナは今後かなり押さえ込むことができるのかもしれませんし、逆に第2波・第3波が来て想像以上にやっかいな状況が長期化するかもしれません。

いずれにしても、こんなに難しい状況の中では、指針や方向性やシナリオがないと立ちすくんでしまいがちです。これを参考に、自分たちの見立てやシナリオをつくってみてください。そして、コミュニティのメンバーとスタンスを合わせながら、活動を前に進めてみてください。だって、市民活動・コミュニティ活動は大切だから。

「コロナ時代の市民活動・コミュニティ活動のシナリオ」


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コロナ時代の市民活動・コミュニティ活動のシナリオ

<はじめに>

コロナ時代は2年間に及ぶと想定し、コロナ時代のシナリオを5つのフェーズに区切ってまとめてみました

■フェーズ1:秋・冬の第2波に向けた「仕込み」の時期
■フェーズ2:オンラインでの活動に「適応」する時期
■フェーズ3:新年度に向けて「脱皮」の計画と準備の時期
■フェーズ4:オンラインとリアルを併用した活動の「進化」
■フェーズ5:Afterコロナに向けていよいよ「旅立ち」の時

<Inコロナ(2020年3月〜5月)>

緊急事態宣言が全国で発出され、外出自粛が要請され、学校が休校し、企業が在宅勤務に舵を切り、店舗は休業を迫られている。
人々はコロナ感染の恐怖と、先の見通せない不安感と、人と会えないことによる「楽しさ」や「癒やし」の低減に直面していて、戸惑いと混乱の中で心を細らせ萎縮していく。

[この時に大切なこと]
■幹部スタッフの緊密なコミュニケーション
■将来の見立てとアグレッシブな変化姿勢
■リーンスタートアップ(まずはトライ&エラーでいろいろやって、経験値を積み上げる)

<Withコロナ フェーズ1「仕込み」(2020年6月〜9月)>

緊急事態宣言が解かれ、経済活動や社会活動が再開する。
この時期を来たる秋・冬の“第2波”に向けた「仕込み」の時期と捉えたい。3月〜5月の封じられた時期を振り返り、もう一度同じことが10月〜12月にやってくると想定して、「その時のために何を仕込み、準備しておくと良いか?」を考えておきたい。
オンラインでのコミュニケーションやケアや会合ができる環境づくり。オンラインでもつながれるための仕掛けづくり。

[この時に大切なこと]
■WiFi・タブレットなどオンライン環境の整備
■ミーティングやイベントなどオンライン慣れ
■緊急時でも頼り合える関係性の構築

<Withコロナ フェーズ2「適応」(2020年10月〜12月)>

第2波・第3波が来て、また外出自粛や制限が課される。
この時に、「仕込み」フェーズでのオンライン環境整備や、援助希求と援助できる関係性づくりが功を奏して、外出自粛の中でもコミュニケーションやケアや会合ができるようになる。オンラインでの活動に「適応」する時期。
活動やケアをそれほど止めることなく、活動はちゃんと前に進み、コミュニケーションも取れて、孤立が防止できる。

[この時に大切なこと]
■オンラインでのミーティング・面談実施
■オンラインでのイベント・場づくり開催
■リアルな場での安心感のある環境づくり(消毒・マスク配布・検温・換気などの徹底・万全な対応)

<Withコロナ フェーズ3「脱皮」(2021年1月〜3月)>

2021年4月の新年度スタートをにらみ、リアルとオンラインの併用(ハイブリッド)による活動計画を立案する時期。
2020年度の活動停滞やオンライン実施などを振り返り、2021年度はリアルとオンラインの組み合わせで、どのように活動していくのかを考えたい。
「新しい活動のかたち」への脱皮に向けた「方針」や「活動内容」の企画設計・計画立案を試みたい。

[この時に大切なこと]
■ピンチ・外圧をチャンスに変える脱皮姿勢
■リアルとオンラインの併用(ハイブリッド)
■リアルとオンラインの役割分担の設計
(例:リアルは関係性や意欲づくりに、オンラインは機会創出に)

<Withコロナ フェーズ4「進化」(2021年4月〜9月)>

新年度がスタートし、リアルとオンラインを併用した「新しい活動のかたち」が本格的に始動する。
Beforeコロナのときの活動とは違う「脱皮」した活動のかたちに運営側も参加者側も慣れてきて、リアルとオンラインの併用状態が当たり前になる。
オンラインは活動参加へのハードルを下げ、参加者やボランティアやスタッフが増える。リアルな場は「身体性・五感・ぬくもり」という精神的・感情的価値が際立つようになる。

[この時に大切なこと]
■オンラインイベント・説明会で接点を増やす
■ボランティアの受け入れ体制を整える
■あたたかく価値の高いリアルな場をつくる

<Withコロナ フェーズ5「旅立ち」(2021年10月〜3月)>

ワクチンの開発・投与と、特効薬の開発・提供によって、いよいよAfterコロナがそこまでやって来る。
リアルな場を心置きなく実施できる状況に対して備えたい。働き方や日常生活におけるオンライン化は不可逆的に定着しているので、「リアルの価値」は変わらず高止まりのまま。
そして、リアルを惜しみなく味わえる環境になった際には、ライブやアートや対話の価値が高まる。そして、人と人との「つながり」や「活動」すること自体の価値が高まる。

[この時に大切なこと]
■リアルの価値の爆発に対して先手で攻める
■社会参加・活動参加への高まりへ備える
■「つながりの格差」を生まない橋渡しを

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