コミュニティキャピタル診断とは – どんな診断なのかもっと知りたい!

コミュニティキャピタル診断が生まれた背景

CRファクトリーは、2013年から上智大学との共同研究として「コミュニティキャピタル研究会」を発足し、コミュニティに関する研究を進めてまいりました。日本社会に良いコミュニティが増えていくことを促進したいと思ったとき、良いコミュニティをつくる上で準拠・参照できるような学術的裏付け、理論的根拠を積み重ねていきたいと思ったからです。

そもそも「良いコミュニティ」の要素とは一体何なのだろうか?照らし合わせられる指標や目印はあるのだろうか?「良いコミュニティ」かどうかを知りたいとき、その状態はどのように測定することができるのだろうか?そのような根本的な問いを持ちながら、私たちは「コミュニティの状態を測定する物差し(=尺度)」を開発するところから研究をスタートさせました。

コミュニティキャピタル研究会は、NPO・市民活動・サークル活動などの非営利組織を主な対象にしながら(ただし企業組織も含んでいます)、2013年から5年間で累計5,000人を超える団体構成員にアンケート調査を行ないました。これを因子分析という統計分析手法を使って分析し、そこから「良いコミュニティ」の要素にあたる3つの因子を浮かび上がらせることができました。つまり、「コミュニティの状態の良さを測定する物差し」の開発に成功したのです。

体温や血圧、脈拍、血液、尿などから人の健康状態を診断するように、人の集まりの状態(コミュニティの状態)を診断したいという思いから、私たちはこの物差しを「コミュニティキャピタル診断」と名付けました。これは誰でも受けることのできる診断ツールですので、ぜひご自身の団体・組織・コミュニティで活用してください。

コミュニティキャピタルの3因子

コミュニティキャピタル研究会では、5000名を超えるNPO団体の構成メンバーを対象にアンケート調査を行い、自分が所属する団体への「コミュニティ感覚」とそれに影響を与える要因について分析を行いました。

因子分析(Factor Analysis)という統計分析手法を使い、そこから3つの因子が浮かび上がりました。それが以下の3つです。

第1因子「理念共感と貢献意欲」
第1の因子は、団体の活動理念への共感とその活動への貢献意欲に関するものです。
同じ集団に属する人間として、仲間と共通の目的や目標を共有し、共にそれを目指そうと思えること。「この団体の理念に共感している」「この団体を自分も一緒に担っていきたい」と思える感覚が第1の因子です。

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第2因子「自己有用感」
第2の因子は、団体の中で自分が役に立っている、必要とされているという感覚です。
ただ団体の活動に参加するだけでなく、活動・関わりを通して「自分は役に立っている」「必要とされている」と感じられること。欠かせない存在であり、自分は重要であると思える感覚が第2の因子です。

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第3因子「居心地の良さ」
第3の因子は、居場所としての団体の状態です。
それも物理的に快適であるということではなく、「人間関係が良好である」「メンバーと一緒に活動することが楽しい」「仲間といると落ち着く」と感じられること。これらによる「居心地の良さ」が第3の因子です。

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「コミュニティキャピタル診断」では、これら3因子に基づいてコミュニティの状態を測定することができます。あなたの団体・組織・コミュニティにおける「理念共感と貢献意欲」「自己有用感」「居心地の良さ」の状態を得点(スコア)で可視化することができます。(診断結果については、「診断結果レポート」を提供しています)

コミュニティキャピタルを実際に高めるためには?

3因子の得点を高めるような介入を行うことで団体の組織・コミュニティとしての状態が改善されます。私たちは、それぞれの因子に対して、以下のような介入設計をしています。

強くあたたかい組織を作るための重要な観点

「理念共有・浸透」とは、団体のビジョンや価値観、活動の全体像や各部門が何をやっているのか、はたまた活動の振り返りや思い出に至るまで、団体に関するさまざまなことを共有したり浸透することを指しています。「情報共有」にかなり近いですが、そこには「団体の考え」や「メンバーの想い・気持ち」を共有するといった要素が強く、「意思の統一」「目線が揃う」という効果があります。この「理念共有・浸透」を丁寧に行うことが結果的に、「理念共感と貢献意欲」につながっていきます。

『関係性づくり』とは、文字通りメンバー同士の関係性を強化することです。関係の質が高いことは成果につながるだけでなく、メンバーの充実感や満足感・幸福感にもつながります。「このメンバーとやっていることが楽しい」と思えるような関係性を構築することは、団体の事業推進力・成果という点においても、メンバーの充実感・幸福感という点においても重要です。日々一緒に活動するメンバーとの関係性が良好で、楽しく活動できることが、『居心地の良さ』につながります。

「メンタリング」とは、人材育成の一つであり、交流・対話・助言などによってメンバーの自発的な成長を支援することです。また「個別支援」は文字通りメンバー1人ひとりの特性や状況を把握しながら個別に支援していくことを指しています。要は、「メンバー1人ひとりの特性や状況を把握しながら、交流・対話・助言などを通じて、メンバーの成長を支援し、団体の力になるように活用していくマネジメント活動」のことです。メンタリング(個別支援)を行うことで、メンバー1人ひとりがこの団体に役に立っているという『自己有用感』をつくり出すことができます。

良いコミュニティが世の中に増えていくように

私たちが「コミュニティキャピタル診断」を開発・提供している理由は、世の中に良いコミュニティが増えていって欲しいと思うからです。

良いコミュニティに恵まれたとき、人は楽しみや喜びにあふれ、生きていく意欲や希望が湧いてきます。人生の苦難やアクシデントにも強くなり、落ちこみやストレスに対してもコミュニティを頼りながらしなやか対応できるようになります。極端に悪い状況に陥ることを回避できるようにもなるでしょう。良いコミュニティにはそんな力があります。

また、良いコミュニティがあふれることは、豊かな社会をつくるための重要な基盤にもなります。現代社会は、特に「孤立」にまつわる社会問題が大きく顕在化しており、それが「自殺」「うつ」「児童虐待」「ひきこもり」「孤独死」などの社会問題の構造的要因になっていると言われています。良いコミュニティが増えていくことは、これらの社会問題の予防や解決にもつながるのです。

それだけ良いコミュニティは今の社会に必要・重要であるにも関わらず、いざ良いコミュニティをつくっていきたいと思ったとき、それは必ずしも容易ではありません。医療や経済のようなの確かな指標や診断・測定ツールも整っていないのが現状です。これから長い時間をかけてでも良いコミュニティを世の中に増やしていきたいと思ったとき、科学的根拠・エビデンスを伴ったアプローチが必要になると考えています。

「コミュニティキャピタル診断」を広く普及することによって、誰でも必要なタイミングで自分たちのコミュニティの状態を測定できるようにしていきたいと思っています。そして、コミュニティの状態を測定できるからこそ、チームの中での話し合いが進み、改善の施策が講じられて、良いコミュニティへと進化していくことでしょう。

日本中に良いコミュニティがあふれることを目指して、私たちはこれからも邁進していきます。ぜひみなさんのコミュニティを良くする道具として「コミュニティキャピタル診断」をご活用ください。

NPO法人CRファクトリー
代表理事 呉 哲煥

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コミュニティキャピタル診断 事務局
呉・西岡
cclabo@crfactory.com