【研究成果報告イベントレポート】良質なコミュニティをどのようにつくっていくか 〜優れているコミュニティが考えていること・やっていること〜

強くあたたかい、良質な組織・コミュニティが社会に広がっていくために、NPO法人CRファクトリー研究開発室では、「コミュニティ」や「つながり」に関する調査研究を行い、その成果を広く共有するために報告書を発行しています。

2019年~2020年の研究成果をまとめた「CRファクトリー研究成果報告書2020(2021年3月発行)」の内容を順番に解説して、深め合う成果報告イベントを3回に分けて行っています。その第1弾を、6月5日に開催しました。

YouTubeで録画を見る

第2弾は6月25日(金)に、第3弾は7月31日(土)に開催予定。各回、報告する調査成果内容は異なります)

今回の第1弾報告会では、「優れているコミュニティの事例研究」「コミュニティキャピタル高得点団体インタビュー」の2つを解説しました。

調査研究報告1つ目は「うまくいっている団体は何をしているのか」を調査したものです。ワークショップ「コミュニティマネジメントゼミ」の参加13団体が行っているコミュニティマネジメントにおける施策や仕組みについて、その手法や使用ツール、実施タイミングなどのノウハウ・具体例を整理し、それぞれの意図や狙い・効果を分析しました。


ポイントは3つ。「1理念共有・方向性共有・意味共有」「2相互理解・関係性・チーム感をコーディネートする」「3成長・主体性・自分ごと感をつくる」に分類されました。

どうしても日々の活動や会議は「やること」「やり方」に覆いつくされがちで、メンバーの目線を合わせ、何のためにやっているのかを確認することが重要だとわかっているからこそ、うまくいっている団体は意図的に取り組んでいました。

そして、メンバーの状況や気持ちを共有し安心して本音や弱音も言い合える関係性を育てる場や仕掛けがあり、役割と出番をコーディネートすることで、主体意識を醸成する工夫も多数みられました。

長年の活動している団体には、メンバーから自生的に生まれている取組があったり、他の団体のよい取組を取り入れて活かしている様子も把握されました。

調査研究報告2つ目は、CRファクトリーが実施するコミュニティキャピタル診断で、高得点が出ている3団体にヒアリングを行ったものです。

当事者性の高い団体、全員が有給スタッフの団体、複数施設に分かれて活動する団体など、規模や形態に違いはあるものの、コミュニティキャピタルの3因子(「理念共感と貢献意欲」「自己有用感」「居心地の良さ」)が高い背景に、どんな秘訣やノウハウがあるのか、抽出しました。

「理念共感」
の高さの背景には、当事者性の高さに加えて、入会(入口)での丁寧な理念説明を行いそれに対する共感を確認していることや、折々で理念を発信し続け、その一貫性がメンバーの信頼を引き出していることが確認されました。

「自己有用感」については、部活動などの内部コミュニティで本来業務以外の役割や出番を設けていたり、相互評価の仕組みなどで「役立ち感」を生み出している事例などがありました。

「居心地の良さ」の高さの背景には、団体のもつ相互尊重の文化があることや、定期的な集合研修(ギャザリング)で相互理解を深め関係性を育てていることが把握されました。

代表の呉から、報告書内容の説明後に、報告書には記載のない総括もお話ししました。

「NPO・市民活動の好事例は「具体的な施策・取り組み」だけでなく、「団体リーダーの考え方・姿勢・価値観」の両方が優れている。研究成果を自団体に活かす際には、両方を取り入れることが大事で、好事例団体は、独自の取り組みだけでなく、他団体からの学びも活かしている」

★本イベントの録画をYouTubeでご覧いただけます。ぜひご視聴ください!

参加者の声

●今回、あらためて「強くてあたたかな組織」について具体的な実践例を交えて理論的にまとめて教えていただき、学びがとても多くありました。コロナ禍だからこそ、集まれない今こそ、メンバーがつながる工夫を様々な場面で実践していきたいです。

●うまくいっている団体の例が大変参考になりました。理念を繰り返し共有する、設立趣旨書を読み上げる、ミーティングの司会や議事録などをリーダー以外にも役割を持たせる、目標を確認するなど。すぐにもできそうで出来ていない大切な事がよくわかりました。

●やりっぱなしにしない、あたたかなフィードバックを送りあうこと。役割だけでない貢献に対する感謝を伝える、労いあう文化を作りたいです。

●組織作りという意味では、非営利のコミュニティでも、企業でも大枠は変わらないということを認識出来ました。また、自身が考えていたことが言語化されているような感じで、人に伝える時にも参考となりそうです。

●ふわっとした形でなく、しっかりと、そして事ある毎に理念や方向性、実現したい世界のイメージを共有していく大事さを改めて感じました。またコアメンバーだけでなく、少し距離のある人たちにもいかに自分事と思ってもらうかというところで、相互理解の場を持つこと、細やかに励まし、労わり、感謝を伝えることをやっていきたいと思います。

成果報告イベント 第2弾・第3弾

報告書から今回成果報告しなかった調査については、第2弾・6月25日(金)第3弾・7月31日(土)のイベントでご紹介します。各回、異なる研究成果の報告ですので、ぜひご参加ください。

研究開発室メンバーを募集

CRファクトリー研究開発室では、研究メンバーを募集しています。どんな研究ができるといいか、語り合うオープンミーティングを下記2回オンライン開催します。研究に興味のある方、やってみたい方、ぜひご参加ください。

① 2021年6月27日(日) 9時~10時半   ※本回は延期となります
② 2021年7月9日(金) 20時半~22時

【お問い合わせ先】
event@crfactory.com
NPO法人CRファクトリー事務局 卜部(うらべ)

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