コラム「働き方と組織の未来と、サード・プレイス」

先日、「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションというイベントに参加してきました。
月曜日の夜にも関わらず、なんと130名もが集まる盛況でした。
「個人側」「組織側」それぞれの魅力的なゲストのトークに加えて、
参加者の方々の背景がかなり多様だったことも印象的で、楽しかったですね。
フリーランスや転職などを経験している個人と、
組織のマネジメント・経営者層とが、半々程度の比率だったと思います。

このイベントを通して見ても、やはり働き方(個人)と組織の関係性の変化を強く感じます。
高度経済成長期の大きな企業・組織の中の個人、という文脈が主流ではなくなり、
個人のアイデンティティ・立ち位置に大きくスポットライトが当たるようになりました。
ノマド、フリーランス、クラウドソーシング、等のキーワードはその象徴でもあります。
組織の中で個人がどう生きていくか、ということではなく、
組織と個人の関係性をどうつくるか、という対等な対照で語られる時代性を感じます。

さて、ダイアローグセッションでも大きなテーマのひとつになり、
ゲストのおひとり、「イクボスプロジェクト」のロールモデル・川島高之さんもお話しされていたのが、
「サード・プレイス」の重要性です。
川島さんは「MBAよりPTA」と表現されていましたが、
企業のモノカルチャーの中だけで完結せず、
多様な価値観・個性が絡み合うPTAのようなサード・プレイスで役割を担い、
主体的に様々な活動を行うことは、いわゆる「仕事の幅」を広げるということです。
私が先日主催した「サード・プレイス勉強会『NPOって、ナンだ!?」の中でも語り合いましたが、
NPOはそんなサード・プレイスを求める人の受け皿としても機能します。
私自身にも実感があるところで加えて言うのであれば、
コミットしている場が複数あると、どこにいても受け身ではいられないのですね。
常に主体性を失わず、どこでも主導権を持っていないと、到底立ち回れません。
その感覚を持ち続けることは、自身を成長させてくれるポイントのひとつです。

そしてこの「主体性」がキーワードだと感じています。
多様な個性、多様な働き方、多様な組織が増え、クローズアップされる時代の流れの中に、私たちはいます。
その中で自分を見失わないようにアイデンティティを確立し、
しっくりくる在り方を探し出すことが、個人の幸せの実感に直結する。
自分自身に主体的であり、自分の人生に対するコミットメントを高めることが重要になっているのでしょう。
ある意味では生きづらく、ちょっと大変さも感じます。
だからこそ生き方を模索する、同じ目線の仲間と出会うための場として、
サード・プレイス、コミュニティの存在感は大きくなり続けると感じています。

   (事業局長/コンサルタント 五井渕 利明)

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