NPOやソーシャルビジネスの担い手は、大なり小なり、方向性は様々ですが、”社会を変える”ことを志しています。
この”社会”という、曖昧でどうやら大きいらしい、掴みどころのないものに変化を起こすために、私たちは”何を変えることで”アプローチしているのでしょうか。
先日、NPO法人コモンビートの”100人100日プログラム”の集大成、ミュージカル「A COMMON BEAT」の公演を観に行ってきました。しかも理事長・安達亮さんに当日の舞台裏を一日中ご案内していただいて(ありがとうございます!!)、そこに関わるたくさんの人たちの熱量に触れることができました。
気づきや感動の全てをレポートしようとするとおそらく2万字ぐらいのボリュームになってしまいそう(冗談ではなく)なので、それはまた別の機会として。
私にとって最も印象的だったのは、コモンビートが起こす”人の変化” です。
”100人100日プログラム”の参加者であるキャストのひとりひとりが、この期間に強烈で濃密な体験をすることは想像に難くありません。
経験ゼロから100日でミュージカルの演者になる難しさ、多様な個性を持つ仲間たちとの関係性、”お客様”や”チケット”を意識した時に感じるプレッシャー、コモンビート10年の歴史と人の厚み、自己表現することへの抵抗や葛藤。
プログラムの最初に、全員のキャストが100日後に向かって”自分への手紙”を書くそうです。その手紙は公演初日の本番直前に、それぞれの手元に戻ってきます。
みんなじっと静かに読んでいる間、反応は100人100通りです。
過去の自分に勇気づけられて瞳の奥が燃え上がる人、戸惑ったような照れ笑いを浮かべる人、読んだ後すっと目を閉じて考え込む人、号泣して止まらなくなってしまう人、その仲間の肩を抱いて元気づける人。
100日前の自分自身が何を訴えかけてきているのか、それは当人しかわかりません。
そして笑った人も泣いた人も、すぐに初日の舞台に上がります。
どん帳が下りたステージの裏で仲間とともに最後の気合入れをして、
いよいよ幕が開く。
目の前には自分たちが必死に声をかけて集まってくれた、満員御礼の
2,000人の観客。
作品に込められた”個性が響き合う社会へ”という想いが世界中に届く
ように、100人の100日の全てを出し切って演じきる。
私はミュージカルを観ること自体が初めてでしたが、ほとんどずっと泣いていました。
作品の素晴らしさはもちろんですが、キャストひとりひとりの個性の輝きが、”自分らしく・たくましく”在ることへの喜びが、熱量となって客席まで伝わってきたからだと思います。
それぞれの人間性が180度変わったとか、そういうことではないのでしょう。
自分が自分自身のまま、仲間とともに認め合い支え合い、響き合いながら表現活動をすることを通して、少しずつたくましくなっていく。
コモンビートは、そんな”人の変化”をつくり出し続けているのだと感じました。
そして”自分らしく・たくましく”生きる個人を増やすことを最も大切にして集中することが、結果的に社会を変えることになるのでしょう。
コモンビートは”人が変わることで社会を変える”NPOなのだと、ミュージカルを観終わった後しばらくして腹落ちしました。
さて、私たちは”何を変えることで”社会を変えようとしているでしょうか?
経済活動? 構造や仕組み? 商品やサービス?
NPOそれぞれの”レバレッジ・ポイント”が存在し、そこに注力をすることこそが、社会を変えるアプローチなのだと思います。
みなさんのレバレッジ・ポイントはどこでしょうか?
私たちCRファクトリーはどうでしょうか。
多様な個性を持つ全ての人が、居場所・仲間を感じる場を持てる社会に。
そのために、あたたかいコミュニティや、人を幸せにできる人を増やす。
だから、より人を大切にできるような組織運営を可能にする仕組みを生み出す。
なるほど、コモンビートにかなり近いものがありますね。
ミュージカルに感動したり、理念に強く共感したりする理由がわかった気がします。
そして自分たちのレバレッジ・ポイントが一段階明確になったと感じました。
この気づきも、”100人100日プログラム”が起こした、人の変化のひとつなのでしょう。
(事業局長 五井渕 利明)
コモンビートのHPはこちら⇒http://commonbeat.org/
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