先日、中野区の職員を中心とした勉強会にて、地域活性化について「地域活性化は『問い』から始まる」というテーマで2時間のプレゼン&ワークショップを行う機会をいただきました。
地域活性化という言葉の向こうには「用意された、どこでも通用する答え」というものは存在せず、内発的・主体的に問い続け、動き続けることで自分たちなりの答えをつくり出していくしかない、ということが主題でした。
表現として「質問する」ことと「つくり出す」ことには離れたイメージがあるかもしれませんが、私の中で「問う」ということはとてもクリエイティブな作業です。
たとえば、ミーティングにおいて。
アジェンダづくり、ブレストのテーマ、議論のディレクションなど、それらはすべて、より良い集合知・集合解を導くために設定する問いです。
ゴールに向かうためのスタート・きっかけを投げかけるという意味では、問うということはファシリテーションの根幹を成すものです。
課題に直面したり、これからのことを決定する段階に向き合ったとき、ファシリテーターの役目はメンバーみんなに問うことです。活動の目的は何なのか、どこに向かっていきたいのか、誰のためにやっているのか、自分たちはこの団体にどう関わりたいのか・・・。
こうした問いをおろそかにして目の前の作業に忙殺されてしまうことは、個人と組織の関係性や共通認識の質を欠くことになりかねません。
ワークショップやグループディスカッションにおいても、最も重要なのは質の高い問いを設定することです。手法(ワールドカフェやOSTなど)の活用も大きなファクターですが、参加者のゴールイメージを明確にし、豊かな創発を生むためには「何を問うか、何について語るか」ということが本質になります。
ニュアンスは近くても、一文字、二文字の些細な違いだけで、方向性は大きく変わります。
「問題点は何か」と「改善点は何か」、「大切なことは何か」と「大切にしたいことは何か」、「10年後のことを考えよう」と「これからのことを考えよう」、とではそれぞれ微妙に絶妙に異なるのです。
丁寧で、明確で、掘り下げるような問いの設定を常に心がけましょう。
ひとりひとりに投げかけられた「問い」から対話が発生し、そのシナジーから、ひとりきりでは辿りつけない答えが生み出されます。
それこそがミーティングやディスカッションの力だと思っていますし、ファシリテーター(引き出し役)冥利に尽きる瞬間です。
問うということが種子であるとすれば、対話の力が水や日光の役割となり、果実としての答え・成果を収穫する。その一番はじめのクリエイティブな作業として大切な、「問い」の力を磨き続けていきたいものです。
(コンサルタント 五井渕利明)