コラム「良い別れ方が、良い関わり方をつくる。」

春は人が動く季節。
学校では卒業・入学というセレモニーがあり、
会社では人事異動や採用・退職などが集中します。
そして否応なしに「別れ」と向き合うことになるのが、この3月です。
ボランタリー(自主的・無給)なメンバーを中心に成り立つコミュニティであっても、
やはりこの時期に一つの節目を迎えることになると思います。

◆大学を卒業して、熱くコミットしたインターン期を終える。
◆転勤したことで、たまにしか顔を出せなくなる。
◆結婚や出産を期に、時間の使い方を考え直すことになる。

そんな変化が身近な方も多いことでしょう。

――みなさんのコミュニティでは、「良い別れ方」をできていますか?

本業(仕事・学業・家庭)に影響されやすく、
状況に応じて関わり方が変わることも多いのがコミュニティです。
金銭的報酬や契約で縛られず、多様な関わり方が認められる
非営利組織ならではの「人材の流動性の高さ」が存在します。

良い時間をともに過ごした仲間だからこそ、
離れるのは寂しい、ずっと一緒に続けたいという思いを抱くのが人情です。
しかし、人の入れ替わりが起こりやすいということは、
コミュニティ運営者が前提(与件)として考えておく必要があることなのです。

そこで「良い別れ方」をできているかどうかが、
コミュニティにおいて多様な関わり方をデザインできるかどうかの
ひとつの大きなポイントになるように思います。

「今までありがとう。これからはどう関わっていこうか」
「関わり方は変わるけれど、今後ともよろしく」

そんなことを示す区切り、セレモニーをしっかりと設けることで、
サヨナラではなく形を変えたつながりを続けていくこともできるでしょう。
ライトなところでは、例えばこんなことが考えられます。
・大きなイベントではサポートスタッフとして登場してもらう
・節目のパーティや飲み会では一緒に楽しむ
・お互いに視点を変えたい時の相談相手になる

わざわざ言葉にしなくても大丈夫にも感じられますが、
離れるメンバーの視点に立つと、今まで密度濃く関わっていたからこそ、
時間や頻度が少なくなることに申し訳なさを感じてしまったり、
OB・OGとしてどう接すればいいかわからなかったりもするものです。

改めて人と組織がWin-Winな関係性を話し合う機会を設けましょう。
採用時の「チェックイン」と同じぐらい、
離れる時の「チェックアウト」を丁寧に行うことで、
多様な関わり方のできる層の厚い組織になっていくことができると思います。

良い別れ方が、良い関わり方をつくる。
年度末は何かと忙しい時期ではありますが、
関わりの節目には丁寧に気持ちを込めることを忘れずに。

(コンサルタント 五井渕 利明)

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