【代表コラム】新型コロナウイルスとワクチンと市民活動

「リアル・対面」が封じられて起きること

新型コロナウイルスとワクチンについて、市民活動・コミュニティ活動の視点から考えてみたいと思う。

新型コロナウイルスが市民活動・コミュニティ活動にもたらした影響は言うまでもなく「リアル・対面でのミーティング」がやりにくくなったことと「リアル・対面でのイベント」がやりにくくなったことだ。イベント・場づくり・交流などを主活動とする市民活動・コミュニティ活動にとっては「リアル・対面」を封じられることは、体内に血液が流れなくなるようなもので、他の方法で血液が送られなければ、段々と不活発な状態を招く。活動の停止状態が続いたり、解散する団体も増えてきている。

よって、新型コロナウイルスとワクチンのことを市民活動・コミュニティ活動の視点から考えるときに、いつ安心して「リアルなミーティング」と「リアルなイベント」ができるようになるのかが最大の焦点となると思う。

では、いつその状態がやってくるのか。そんなことを正確に予測できる人は世界中誰一人として存在しないと思うけれど、何かしらの見立てを持っておかないと暗中模索すぎて先のことを考えることすらできなくなる。モチベーションも湧かないし、立ちすくむだけの日々になってしまう。だから、当てるための予測ではなく、自分たちなりに策を講じるため(考えるため)の見立てとして未来予測をしてみたいと思う。

ワクチンから見る、コミュニティ活動のこれから

結論から発表すると、その状態がやってくるのは、ずばり2022年の6月、つまり来年の6月だ。その根拠を示せと言われると泥沼にはまるので(笑)、ここからは私という個人の感覚と推測にすぎないということで聞いてもらえればと思う。(信頼したり、疑ったりしてください)

今のワクチンはだいぶ優秀な気がする。もっと検証しなきゃならないかもしれないし、これから何か良くないことが出てくるかもしれないけど、今のところ「発症予防」と「重症化予防」に相当効果がありそうだ。日本での接種はイスラエルやイギリスやアメリカなどに比べて遅れているけれど、いざ進みだすと丁寧で早いのが日本の特技だと思うので、中盤・後半から巻き返しが期待できると思っている。「発症」と「重症化」を予防できるのならば、医療体制への負荷をかなり低減することが期待できる。そうなると、今の右往左往している状況と比べてかなり世の中の状況や雰囲気は変わってくると思う。
(※1:「感染予防」ではない点は注意点ですね)
(※2:ワクチン接種については個人的には慎重派です)

ワクチンが状況改善の一番大きな決定打になると思うけれど、それ以外にも積極的疫学調査や不特定多数へのPCR検査の充実・定常化、また、今はまだ出てきていないけど感染拡大や医療体制逼迫を先手で回避するようなソリューション(解決策)がこれから出てくる可能性もある。そんなこんなでコロナ時代の今の状況は大きく転換して、「リアル・対面」でのミーティングやイベントができる状態が2022年の6月頃にやってきます。(←あくまで仮置しなきゃいけない見立てなので、今回はそう言い切ってその見立てを前提に考えていきます)

そうなったとき、みなさんの活動はどうしますか。2021年度はどんな計画を立てて、どんな戦略やスタンスで活動を進めていきましょうか。15ヶ月後に霧が晴れるとわかったとき、どんなふうに2021年度を過ごしていきましょうか。
逆に言うと残り約15ヶ月間は今のような第3波や第4波が繰り返しやってくるような状況が続くと思います。そんな中で私たち市民活動・コミュニティ活動はどのように活動を進めていくと良いのでしょうか。

オンライン化を進める

私なりの提言は2つです。
一つは、やっぱり「オンライン化を進める」です。この約1年間コロナ禍の状況がずっと続いてきました。冒頭に申し上げた通り、「リアル・対面」を封じられて、市民活動・コミュニティ活動は血液がまわらないような状態になりました。いろいろ大変だったし、今も大変です。でも、この時間は様々なチャレンジやトライ&エラーをする時間にもなりました。オンラインの良い面にもみんなが気づき始める時間になったし、いま少しずつ高齢の人もオンラインを使うようになってきています。1年間かけて「もうさすがに止まってばかりはいられない」という良い開き直り・奮起・再起動するための時間でもあったかもしれません。

これからの約15ヶ月間・2021年度はチャンスです。こんなに「オンライン化」を進められる環境は滅多にありません。オンライン化をする理由がこんなに豊富にあるボーナスみたいな時期は滅多にありません。オンライン化をなかなか進められなかった1年間(2020年)があったからこそ余計にオンライン化が進めやすくなります。年度の変わり目で新しい予算も動き出します。みんなの気持ちも春になって心機一転、何かに挑戦しようという気持ちも湧いてきて機運も高まってくるでしょう。

まだまだ続く長期戦のコロナ時代。この約15ヶ月間を「オンライン化」する大チャンスの時間にしてみてはいかがでしょうか。オンラインで「ミーティング」や「イベント」ができるようになることで団体・活動がまた違ったかたちに進化することができたら、それは長い目で見たときには恵みの時間であるとも言えます。5年後に「あの時代があったから今があるねぇ」と言えるときが必ず来ると思います。

「オンライン」は、リアルにはアクセスしづらい人へのアクセスと参加を生み出します。移動が難しくなった高齢の人、天気が悪いと出かけるのがつらい子育てをしている人、リアルな喧騒がどうしても苦手な人、etc。オンラインはいろいろな人の社会参加の機会になりうるのです。2021年度は市民活動・コミュニティ活動の「オンライン化」を一生懸命チャレンジする1年にしてみてはいかがでしょうか。行政も中間支援組織もそこを支援していきたいですね。

「待つ」という選択肢

そして、もう一つの提言は、2022年の6月頃に「リアル・対面」ができるようになるのであれば、それまで「待つ」という選択肢です。1つ目の提言の後なので拍子抜けするかもしれませんが、これも大事な選択肢だと思います。先行きがまったく見えない中で活動を止め続けることは、代表や幹部にとってもメンバーにとってもとてもとても苦しいことです。誰が悪いわけでもないのに、「これからどうしていくのかわからない」ことによる失望や不信感みたいなものが出てきてしまいます。これがつらいです。もう一度言います。誰も悪くないのです。

そして、もし仮に2022年の6月に「リアル・対面」がつくれるとするならば、「それまで待つ」ということで合意して共通認識をつくり、感染対策をしながらたまに少人数で会って、細々と会を継続することもできるかもしれません。活動をしないで団体を維持することはとても難易度が高いですが、敢えて15ヶ月間待つという選択・判断をして、なんとかみんなの心をつないで、コミュニケーションをちょっとだけ絶やさずに生命維持する道もあると思います。(人数はぐっと減るかもしれませんが、1人でも残ればまた活動は再開できます)この選択肢も同時に持つことが今は大切な気がします。

「つながり」や「居場所」という社会基盤

コロナによって私が一番おそれているのは、市民活動・コミュニティ活動やそれによって生まれている「つながり」や「居場所」と言った社会基盤が地盤沈下していくことです。目に見えないし、不要不急かもしれないけれど、確実に人間と社会にとって大切なものがゆっくりと時間をかけて減衰していっているように思います。

私はがんばって声をあげようと思います。がんばろう!オンラインできるよ!活動止まっていてもいいよ。「つながり」と「コミュニティ」は大事だよ。そして、それは自動的には生産されないけど、自分たちの手によって創り出すことができるよ。このコロナ状況下でどうすればいいかわからないよ。でも、なんとかしなきゃと優しくもがけば道は開けるかもしれない。そして、こんなときこそつながって共有し合ってお互いの心を動かし合う。

2021年は良い一年になると思います。どうか一緒にがんばっていきましょう。お願い。

CRファクトリー代表 呉 哲煥

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