地面に向かって穴を掘っている人がいます。
あまりにも一心に掘り続けるものだがら、通りがかった人が聞きました。
「ここに何があるの?」
――この下には豊かな水脈があって、井戸をつくるために掘っているんです。
何人もが通り過ぎ、その度にこの答えを聞いて、
「そんなところに水脈はないよ」
「何もそんなにがんばらなくてもいいんじゃないの」
「それってお金になるの?」
と言いながら去っていきました。
それでもその人は掘り続けました。また通りがかった人が聞きました。
「どうしてそこまでして井戸を掘るの?」
――ここに井戸ができれば、本当にたくさんの人が助かるはずなんです。
どうしても力になりたい人たちがいるんです。
そういうことなら一緒にやってみようか、水はともかくあなたを信じるよ、
と徐々に仲間が集まってきました。
そしてようやく少しずつながら水が湧き、
潤い喜ぶ人たちの笑顔に、井戸を掘る人たち自身も癒されていきました。
次第にまた新たな仲間が集まってきて、
「この水をもっと広くいろんな人に届けよう」
「水の成分を研究してみよう」
と次々に新しい可能性が開かれていくことにもなりました。
NPOやソーシャルビジネス、社会を変えようとするリーダーたちは、
この「最初に穴を掘り始めた人」なのだと感じています。
そして井戸をつくるためには、何と言われようと掘っている本人だけは
「ここに水脈がある」と信じて続けてることが不可欠なのでしょう。
その背中に強く惹きつけられ、ともに掘ることを選ぶ人もいて、私自身もそのひとりです。
先日開催した「CRファクトリー感謝祭」では、
多くの「井戸を掘る人たち」に集まっていただきました。
たくさんの人が潤うことのできる、多様な井戸が社会にあふれるために。
CRファクトリーはこれからも、
「熱い/あたたかいチームとともに井戸を深く掘るための方法」を追求する
という井戸を掘り続けていきたいと思っています。
(事業局長 五井渕 利明)