コラム「”良い議事録”を書くコツって?」

ミーティングをテーマにした研修やセミナーの講師をする時に、タイトルのような質問をいただくことがあります。
個人的には、議事録を書くことはかなり好きですね。
単なる事務的プロセスではなく、むしろ”デザイン”や”編集”に近い、クリエイティブな仕事だと捉えています。

特にNPOやコミュニティにとっては、議事録の精度は重要だと感じています。
”メンバーの関わり方が多様であること”が、以下のようなことを発生させるからです。
(1)ボランティアスタッフはオフィスなどで日常的に対話できるわけではない
(2)チーム全員がミーティングに参加できない場合も多い
(3)理念や事業目的の丁寧な共有が重要
そのため、内容に齟齬がなく、参加していなくても理解できて、事実だけではなく意志が込められている、そんな議事録が”良い議事録”と言えると思います(こうして書くとすごくハードに見えますが)。

私が思う議事録のポイントは、以下のようなことです。

【問い→過程→決定事項を明確にする】
議論は「◯◯についてどうしたらいいだろう?」というような問いから始まります。
ミーティングにおけるアジェンダがそれにあたりますが、対話の細かい部分でも問いは小さく頻繁に発生しています。
発生した問いから、議論・意見出しという過程を経て、意思が集約されて決定事項となります。その繰り返し・積み重ねが大きなアジェンダの解決につながっています。
この、問い→過程→決定事項の流れがつかめる議事録になっていると、わかりやすいと言えるでしょう。
加えて、「決定事項」をフォントなどを強調するなどして明確にすることは重要です。
ミーティングの大きな成果物のひとつであり、後から振り返って参照するのはこの部分であるからです。

【TODOと要検討事項を漏らさない】
ミーティングの大きな成果物のもうひとつが、事業推進のためのTODOを漏れなく洗い出し、担当者と納期を決めることです。
後で決める、ではなく、ミーティングの現場で決めることが重要です。
後日のメールでのやり取りなどでTODOを割り振ろうとすると、どうにも手が上がりにくくなってしまうものです。
もしミーティング欠席者にTODOが発生する場合には、丁寧なコミュニケーションで伝えましょう(必要に応じてわざわざ電話をするなど)。
また、ミーティングでは決定しきれず、継続的に検討する必要のある事項も発生します。
それも漏らさないようにしておき、次回ミーティングのアジェンダ候補としておきましょう。

【理念・目的や意志・想いを乗せる】
NPOやコミュニティにおいて、理念・目的がメンバー間でしっかりと共感・納得されているかは、組織の原動力に直結します。
それにあたる発言・キーワードは、これもフォントなどを工夫して強調しましょう。
私のテクニックとしては、ミーティングの場で議事録を取りながら、
「この場にいる人はわかるけど、後から読むだけでは感じ取りにくいかも」
「もっとわかりやすい言葉にしないと実は腹落ちできていない人がいるかも」
こんな風に感じた時には、意図を確認できるよう鋭く質問を投げかけるようにしています。
意志や想いを丁寧に言語化してクリエイティブに編集することも、議事録における大きな仕事だと思っています。

【小技集】
■Googleドキュメントなどのクラウドツールを活用して、ミーティングのリアルタイムで誰でもPCを開けば議事録を確認・加筆できるようにしておく。プロジェクターやモニターに投影して常にみんなが常に確認できる状態にしておくのも効果的。
■議事録の表記に”マイルール”を決める。小見出しは【 】、TODOは赤字、決定事項には★マーク、など。後から見てわかりやすいし、議事録を書いている本人の思考が整理されやすくなる。
■ホワイトボードや模造紙に図示したものは写真を撮ってデータを議事録に貼り付ける。
良い議事録を書くスキルは、反復練習によって着実に身につく類のものです。形に残るものなので、自分の成長も目に見えます。
意識的にトレーニングして、”議事録力”を高めていきましょう!

(事業部長 五井渕 利明)

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