【代表コラム】全部を恐れるのではなく、要所要所で恐れるスタンスへ

東京都の休業要請が全面解除となると共に、全国の移動自粛も全面解除になりました。
少しずつ社会活動・経済活動再開の雰囲気・ムードが出てきましたね。さあ、ここからどうしましょうか。

ここからは私なりの大胆な意見なので、個人の大胆な意見なのだと思って聞いていただければと思います。大きなポイントは3つです。

①やっぱり「長期戦」である
②「第2波・第3波」は来る
③「検査体制充実」や「3密対策」や「医療体制整備」によって、ある程度は「感染拡大」と「医療崩壊」をコントロールできる

この3つをにらみながら、これからの市民活動・コミュニティ活動を考えていきたいと思います。

① やっぱり「長期戦」である

いろいろなニュースや新聞やインターネットの情報を総合すると、このコロナ時代はやっぱり「長期戦」なんだなぁと思います。
治療薬の開発やワクチンの開発が世界中で進められていますが、世界中が集団免疫を持つまではパンデミック(世界的大流行)は収まらない。これから出入国制限も緩和されますので、日本国内だけの問題に留まらない。
そして、ウイルスは大きく変異する可能性もあります。開発したワクチンが効かないウイルスが出てくる可能性がある。そんなこんなでやっぱり「長期戦」なのだと思います。Withコロナ時代は、2020年はもとより、来年の2021年中も続くのではないでしょうか。(もしかしたら、2022年にも及ぶかもしれません。気が遠くなりますね。)

なので、私の意見としては、これからの市民活動・コミュニティ活動は、それ(長期戦)を前提として思考し、行動することが必要だと思います。具体的なことは団体や分野によって様々だと思いますが、例えばWiFi環境の整備・タブレット端末の購入・テレビ会議への慣れなどのオンライン化を進めることもあるでしょう。
また、フェイスシールドを購入したり、非接触型体温計・消毒液・アクリルパーテーションなどを準備して、リアルの感染対策を装備するということもあるでしょう。残念ながらこの雨はすぐには止みません。
2年がかりの雨であることを覚悟して、思考し行動していきたいと思います。(市民活動・地域活動などを支援する支援組織(行政や中間支援や財団など)もその認識に立って、これらを補助・助成していくのが良いのではないかと思います)

② 「第2波・第3波」は来る

いま専門家の間ではほぼ共通見解として「第2波・第3波は来る」と言われています。
それがこの秋や冬になるとも言われています。もし仮にその状態に入ったら、また4〜5月の緊急事態宣言のようなことが起こるかもしれません。
そうなるとリアルの場・イベント・活動ができなくなる可能性があります。つまり、また4〜5月と同じ状態がいつかやってくるかもしれないということです。

そのときに向けて、今からどのように備えておくのか。リアルなミーティングやイベントや面会が封じられても、活動・ケア・コミュニケーションができるだけの備えをしておきたいと思います。この4〜5月を振り返って、もう一度この状態(外出自粛・休業要請)が来るとしたら、今度はどのようにうまくやれるだろうか。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」にならないような未来の対策が欲しいと思います。

③ 「検査体制充実」や「3密対策」や「医療体制整備」によって、ある程度は「感染拡大」と「医療崩壊」をコントロールできる

医療の専門家でもない人間がこんなこと言って良いのだろうかと躊躇します。
でも専門家でないからこそ、現場感のある大胆な考えを提案したいと思います。
4〜5月の第1波によって、手洗いやマスクや社会的距離に気をつけることが当たり前となりつつあります。リモートワークの推進によって、都市やオフィスへの密集度はゆるやかになりました。そして、これからますます「検査体制」が充実したり、「3密対策」もうまくなれば、「感染拡大」をコントロールすることができるのではないでしょうか。軽症患者を早めに隔離する体制や重症患者の受け入れ体制がさらに整備されれば、「医療崩壊」を起こしにくくなるのではないでしょうか。

そんな時に思うのが、「全部を恐れるのではなく、要所要所で恐れる」というスタンスが大事なのではないかということです。Withコロナの時代は長いのですから、変な言い方ですけれど、仲良く付き合っていくことが大事だと思います。何でもかんでも恐れていては2年間の旅は持ちません。かと言って、すべてが終息・解除・開放というわけにはいきません。その間です。

感染防止対策を施しながら、大胆にリアルな場をつくる。必要に応じた効果的なミーティングやイベントなどです。ある程度、頻度や人数を調整しながらも、世の中の状況(数値)が悪くないときには必要に応じてリアルをやる。その代わり重症化リスクがある人については十分に気をつける。市中感染が広がっているときは中止する(オンラインに切り替える)。何かリスクを感じるようなことがあるときは正直で透明な情報共有と大胆な中止をする。そうやって要所要所だけしっかりと恐れる。「全部が全部リアルはなし」ではなくて、必要に応じて状況に応じてリアルをやりながら、いつでも止められるスイッチを持っておくスタンスが有効なのではないかと思います。

「ルーフ(屋根)付きオープンカー」モデル

私はこれを「ルーフ(屋根)付きオープンカー」に例えてみたいと思います。
普段はルーフを開けたオープンカーなのですが、雨が降ったらルーフを閉じて屋根付きの車になる。どちらの状況にも対応できる体制になっています。
感染状況が悪くないときにはオープンカー仕様でリアルミーティングやリアルイベントをやります。そして、感染状況が悪くなってきたら屋根を閉じてオンラインミーティングやオンラインイベントに切り替える(あるいはかなりの程度で3密を避けて社会的距離を取った活動に切り替える)。

今はもしかしたら晴れているのに「ルーフ(屋根)」をつけている状態かもしれません。晴れの日も雨の日もずっと屋根がついている(活動を自粛・停止している)。
一方で、雨の日に(感染が広がりそうなときに)屋根を外しっぱなしでは団体もびしょぬれになります。変形自在で、切り替えられることが大事です。

そのためにも、ミーティングやイベントのオンライン化を進められるところは進めて欲しいと思います。2年間の長い旅です。その間に大雨は何度かやってくると思います。そのつもりで大雨に備えて欲しいと思います。
また、リアルな場をつくるための感染防止対策も進めて欲しいと思います。ガイドラインの作成や、申込みの際に事前に合意していただく規約をつくったり、フェイスシールド、非接触型体温計、消毒液、アクリルパーテーションなどの「リアルイベントセット」を用意したりしたいです。

しなやかでアイディアあふれる市民活動・コミュニティ活動

市民活動やコミュニティ活動は、多くの場合、活動者の発意や意欲を動力として動いています。しかも難しい状況や課題に向き合う情熱と負けん気を持っている方も多いのではないでしょうか。
私は、市民活動やコミュニティ活動はアメーバのような、竹のようなしなやかさを持っていると思います。リアルが封じられるというのはなかなかな逆風ではありますが、そんなときこそアイディアと工夫でいろいろな取り組みを試しながら、しなやかにおもしろく進んでいきたいところです。
この状況にめげず、いろいろなトライアンドエラーを繰り返しながら、さまざまなアイディアや工夫が生まれて、それぞれの地域とそれぞれの団体で活気が出てくることを願います。また書きます。一緒にがんばりましょう。

NPO法人CRファクトリー
代表理事 呉 哲煥

コラムのバックナンバー記事はこちら

今後のイベント案内




シェアする

フォローする