【代表コラム】アフターコロナの世界を想像してみる

コロナ状況下になって約半年が経ちます。まだまだ先行き不透明で、「緊急事態」でもなければ、「平常時」でもない“あいまい”な日々を生きるのはなかなかつらいものがありますね。

先行き不透明とはいえ、この半年間の社会実験を通して見えてきたものもあるような気がします。中間モニタリング的に、備忘録もかねがね書いておきたいと思います。

アフターコロナの時代に価値が上がるもの

ここは間違いなく「リアルな場・体験」だと思います。リモートワークやオンラインミーティングやオンライン学習などなど、いろいろなものがこれから約2年間かけてオンラインに代替されていくと、相対的にリアルの価値は上がります。普段の多くのことをオンライン化しながら、「ここぞ」というときにはリアルに時間とお金を投入する。旅行に行ったり、ライブに行ったり、ワークショップに参加したり。

キーワードは「リアルな場」「対話」「共通体験」。オンラインではなかなか味わえない五感と身体性のある体験。心が動いたり、じんわりしたり、やたらやる気が出たり(笑)、インスピレーションが湧いたりする時間。そこにさらにキーワードを加えると「会食」(ご飯会・飲み会)と「遊び」。普段はLINEやZoomでコミュニケーション取りながらも、やっぱり「ご飯を一緒に食べる」ということはなにかと重要で威力があるし、“わざわざ遊ぶ”ということもアフターコロナの世界では意図的に行われていくのではないかと想像しています。普段のコミュニケーションがオンライン化されるからこそ、要所要所のリアルをみんなで思いっきり時間を割いて楽しむような流れが来ると思います。

私はこれは市民活動やコミュニティ活動にとっては追い風だと思うんですよね。みんなで場に集まって、対話・交流しながら、同じ体験と想い出をつくる。これって市民活動・コミュニティ活動の基本原理・基本構造だと思います。そういう「リアルな場」「対話」「共通体験」が今以上に求められる時代が2年後に来るなんてわくわくしますね。私が投資家だったら株を買っておきたいです(笑)。

もう一つポイントは、旅行だって、イベントだって、一方向性の鑑賞だったらオンラインでも良いかもしれない。そこに現地の人との「交流」や、イベント参加者同士の「対話」があるときに、リアルでやることの必要性や価値がぐっと上がって来ます。アフターコロナ時代のリアル・体験価値は、「参加」や「主体的関わり」をデザインしてこそ価値が倍増すると思います。

アフターコロナの時代にも定着するもの(新常態になるもの)

これからのコロナの約2年間で変化するもの=新常態になるもの(アフターコロナでも残るもの)は、以下の3つだと思います。

①オンラインミーティング・オンライン打合せ

この半年間、ほぼすべてのミーティングや打合せをオンラインでやってきて思うのは、「これはアフターコロナになってもかなりのミーティングや打合せはオンラインになるだろうな」という確信です。オンラインでのミーティングや打合せは、会場への移動がないことが大きなメリットです。ここにかかる時間と費用はかなりのものなので、効果がさほど変わらないならば、双方がオンラインを選ぶ流れになるでしょう。移動がない分、時間の調整もしやすく、仕事や家庭との両立もしやすいです。仮に距離的に近い地域の活動だったとしても、子育てや介護や各種事情などでオンラインの方が参加しやすいことも多いです。オンラインミーティングが普通の選択肢として新常態になっていくと思います。今からでもあきらめずにオンラインミーティングに慣れていって、ミーティングのやり方の選択肢の一つにしましょう。
(一方で、リアルでやるミーティングや打合せは相対的に価値が高まります。どのミーティングをリアルでやるかの使い分けをうまくすることで、「集まる負荷」と「リアルで集まる価値」のバランスを取ることがポイントになると思います。)

②オンラインイベント

先日のCRファクトリーのオンラインセミナーでは、なんと参加者の一人がイギリスのロンドンから参加し、もう一人の参加者がアメリカのノースカロライナから参加してくれました(日本20時、アメリカ朝7時、イギリス昼12時)。さらには北海道からも2名の参加がありました。10名くらいのウェビナーでこの顔ぶれはすごいですよね。でも4月からやっている数多くのオンラインイベント・セミナーではほとんどこの傾向であり、関東圏以外の参加者がいつも半数を超えます。これは東京田町・三田のオフィスでやっていたときとは大きな違いです。
オンラインイベントは自宅から気軽に参加できますし、日本全国(ときに世界各地)から参加できるので、みんながそれに慣れた社会においては新常態になっていくと思います。今までローカルにしか接点を持てなかった活動も、全国に情報発信したり、全国の共感者や仲間をつくりやすくなっていくと思います。必要に応じて、オンラインイベントに参加したり、オンラインイベントを主催できる体制をつくっていきましょう。

③オンライン連続講座・プログラム

CRファクトリーでは「コミュニティ塾」というプログラムを年に1回実施しています(もう塾生も第7期まで来ました。第8期の今回はオンライン開催です)。これは全8回のプログラムであり、毎週東京田町・三田のオフィスのセミナールームにみんなで集まって学び合っていました。こういうプログラムは連続性があることで塾生同士の関係性が深まっていき、それによって学び合いも深まっていく良い面があります。一方で、毎週東京田町・三田に通うのもなかなか大変な面があります。それこそ「集まる負荷」と「集まる価値」をうまくバランスさせる余地がありそうです。おそらく単発のイベント・セミナーよりも、連続ものの講座・プログラムの方がオンラインに向いているような気がします。お互いの顔が見えて、相互の理解が進んでいる状態では、オンラインでもかなり深い対話や学び合いができます。全8回のうち3回は「リアル」に集まって、5回は「オンライン」みたいな仕立ての方が「集まる負荷」と「集まる価値」をバランスさせやすそうです。これもアフターコロナでの新常態になる可能性があると思います。今から連続講座のハイブリッド運営(「リアル」と「オンライン」の併用)を試みておいて、アフターコロナでも参加者の「参加しやすさ」と「深さ(学び・関係性)」の両方を最適に実現できる努力・工夫をしておきたいですね。

まとめ

以上、アフターコロナの世界を想像してみました。新型コロナウイルスは、市民活動・コミュニティ活動にもさまざまな変化を迫ってきます。しかし、アフターコロナの世界はきっと市民活動・コミュニティ活動にとっては「出番」と言えるほどの追い風が吹くのではないかと思っています。「リアルな場」「対話」「共通体験」「参加」「主体的な関わり」などなど、そんなものの価値が高まっていきます。今からわくわくイメージして準備したいですね。

そして一方、オンライン化はコロナ禍をしのぐための方策に留まらず、アフターコロナの世界でも一部は新常態として定着すると思います。せっかくだから今からうまくなっておきましょう。

この「緊急事態」でも「平常時」でもない“あいまい”時期にもやれることはたくさんあります。第3波も第4波も来ます。長期戦です。良い意味であきらめて覚悟を決めて、「リアル」と「オンライン」の両方を使いこなすハイブリッド運営への道を歩み始めて行きましょう。

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